アトピーは甘えとか言う奴には鼻くそでもつけとけ

アトピーは甘えという言葉を言われたことがある人は多いはずです。もしくはそれに近いニュアンスの言葉。

僕が言われたことがあるのはお前がきっちり薬を塗らないから治らないんだ。とかそのうじうじした性格のせいで治らないとか。野菜を食べないから治らないとかそんな言葉画多かったかな。

でアトピーって甘えなのか？というのを僕なりに考えてみました。

僕がアトピーだった頃の一日

まず朝起きて布団の掃除から始まる。アトピーの人は寝ている間にかきむしるので皮膚の皮がぼろぼろと落ちる。コロコロで掃除していたけど酷いときは1枚ではすまないときもある。

掃除が終わったらご飯を食べるんだけどその日の体調によって食べれる物が変わる。油物や甘い物は調子がいいときだけ。

そうやって食べ物を選ばないと学校に着いたときに食べ物のせいで痒みのピークが来るので教室でかきむしってしまう。それだけは避けたかった。

飯を食い終わったらパジャマを脱ぐんだけどパジャマを脱ぐときには汁がシャツとくっついているので慎重にはがさないと痛いし皮膚もはがれてしまう。そこから汁がでないようにそっとはがすのがコツ。

パジャマを脱ぎ終わったらアトピーのせいでフケだらけの髪の毛や汚い体をシャワーで洗って痒みに我慢しつつ真っ赤な顔や体に塗りたくって学校に行く。

朝起きてこれだけの作業をするのがいつも億劫だったがそれに拍車をかけるように登校途中に大丈夫？辛くない？顔べとべとやなぁというありがた迷惑な言葉が飛び交う。

学校についたころにはもうヘトヘトで倒れこむように行くのがトイレ。僕が着ていたのは学ランだったのでフケがとても目立つ。それを鏡で見て落とし登校中に我慢していた痒みを発散するかのようにかきむしる。

それから教室に行って授業を受けて休み時間にトイレにいってはかきむしりという行為を繰り返しようやく学校が終わるとへとへとになって家に帰る。

家に帰ったら今まで我慢していた痒みが爆発し夕飯ができるまでひたすらかきむしる。僕の部屋は2Fで夕飯を食べるのは1Fなので親が声をかけても気づかないことがった。

夕飯を食べ終わったらお風呂なんだけどお風呂が怖い。お風呂に入ると猛烈な痒みが襲ってくる。しかし入らなければもっと悪化するし何より気持ち悪い。

お風呂上りの気が狂いそうな痒みに耐えながら薬を塗りたくってかゆみを我慢しながら学校の宿題や予習をする。普通の人なら30分で終わる物も痒みのせいで1時間や2時間かかることもざらだった。

それが終わればようやく布団に入るんだけど僕には眠るという行為が一番の苦痛だった。「眠いのに痒みのせいで寝れない状態」がずっと続く。

お日様が昇る前に眠れればまだ調子のいいほうでお日様が昇ってきたことを確認してから眠りに入ることが多かった。睡眠時間2～3時間で学校へ向かうという日々が続いた。

かなり簡潔にさくっと書きました。詳細をかきはじめると30000文字ぐらいいきそうで困る。いやまじで。

アトピーが知らない人が僕を見ると？

重症アトピーだった僕は6年間をこんな風に過ごしましたがこういう事情を知らない人から見ると僕はどういう風に見られていたのか？

話しかけられてもはっきりと返事をしない。声が小さい。自分に自信がない。いつもボリボリかいている。おどおどしている。ネガティブ。目線は合わせない。

一言で言うと見ていていらいらする奴です。上のような事情を知らない人がこの部分だけをみればもっと前向きに治療すればいいとかなんでかきむしってるんだろう？薬を塗らないのかな？

なんていう「アトピーは甘え」という意見が出ても仕方ないかなと思っちゃいます。なるほどなるほど・・・・。なーんて結論になるわけねぇだろあほか！

コンプレックスに向き合って弱音と愚痴を吐いたことがない人だけが甘えといってもいい

誰にだってコンプレックスの一つや二つはあると思うんだけどアトピーの人にとってはアトピーがコンプレックス。それも相当重い人が多い。

コンプレックスに向き合って弱音や愚痴をはかない人はいないと思う。例えば体重がコンプレックスだったらだったらあーやせなくて辛いわぁとか可愛い服を着られなくて辛いとか友達に愚痴ったりしますよね？

あれなんて本当に軽いほうで私最近太ったのよ～なんてネタにできるならまだましだと思うし幸せだと思う。そういう奴ほどアトピーは甘えなんていっちゃたりするんだこれが。

重度のコンプレックスというのは人に愚痴をはいたり相談できない。アトピーは特にその傾向が強い。

僕は一回だけアトピーの友達に眠れなくて辛いというのを相談したことがあるんだけどその人は笑って「あーわかるわかる。痒いとき眠れないよね1時間眠れないぐらいは当たり前だよねー」

それ以降僕は人に相談するのを止めました。これの何が辛いって「辛さの共有が出来ないこと」。アトピーって言うのは人によって症状や重さも様々で相談してもあんまり役に立たないことが多い。

同じアトピーでも文字通り重症の人と軽度な人じゃ生きている世界が違う。重症の人は毎日を生きるのでいっぱいいっぱいだ。重症の人が軽度の人に相談なんてしても殆ど意味がない。

じゃあ相談できなくなったり愚痴をはけなくなったらこのアトピーから生まれる膨大なストレスはどう処理すればいいのだろうか？治したいのに治せない。治らない。

他人に愚痴をはけないなら自分に対して弱音を吐くしかないじゃないか。自分が悪い。あぁすればよかったのかな。何で頑張れないんだ。辛い。苦しい。死にたい。

しかしその弱音ですらも親あるいは親戚あるいは友達から「アトピーが治らないのは甘え」とばっさり切り捨てられる。アトピーの人は愚痴も弱音も吐くことが許されない。

アトピーの人に必要なのはむしろ甘え

アトピーの人には甘えるな！というよりは甘えたほうがいい。僕の経験上ね。アトピーを経験したことがある人ならとても甘えなんていえたもんじゃない。

アトピーの苦痛って他人の目には移らないけど精神的苦痛で言えばかなり上位に来ると思う。今までできていたことがどんどん出来なくなっていく惨めさは特にきつい。

男性もきついんだけど女性は特にこの傾向が強い。夏に半袖で過ごせなくなった。お化粧が出来なくなった。お洒落もできない。恋なんてもってのほか。

他の人は当たり前のように夏には半袖で過ごし化粧もしてお洒落な服装をして恋人と過ごしている一方自分はすっぴんで長袖を着て俯きがちに誰とも視線を合わせないように歩いているとか。

僕はアトピーの苦しさというのは知っているのでアトピーの人にはもっと気を抜いてゆるーくゆるーく治療してくださいっていってますけどね。愚痴ってもいいし弱音を吐いてもいい。

治療が辛くなったら止めて気分転換してもいい。世間はそれを「甘え」と呼ぶけどアトピーの人にこそ僕は「甘え」が必要だと思ってます。