アトピーで使われる漢方薬「紫雲膏」について効果や副作用をまとめてみた
2015/05/21
今日は漢方薬「紫雲膏」についての記事です。紫雲膏ってマイナーなのかなぁと思ったら漢方で出されるアトピーの塗り薬としては結構有名みたい。
軽い物なら効くけど重いアトピーにはあまり効かないらしい。ある程度重い場合は神仙太乙膏がお勧めです。
そんな紫雲膏について今日は自分なりにまとめてみました。
アトピーにおける漢方の役割
僕の漢方のイメージって「体に優しい」、「副作用が少ない」「薬が効くまで時間がかかる」「苦そう」というものです。
殆どの人が「体に優しい」、「副作用が少ない」というイメージを持っていると思います。でもこれ間違ってるからね。
自然な物が優しい。というのは幻想だから。薬である以上必ず副作用はあります。薬を選ぶ際は自分に合う合わないで選びましょう。
漢方薬は医者が症状を見てそれにあった薬を出すのでまず医者の診察が正確に行われていて初めて薬の効果があるという感じです。
だから効くときはすごい効くと思う。その代わりヤブ引いたらすげぇ悪化するけどね。つまり漢方が効くかどうかは医者に大きく左右されます。
アトピーの民間療法で重大な副作用報告のうちの23%は漢方が占めていますので漢方だから安全だという思い込みでどっぷりと漢方にはまるのは危険です。
ちなみに西洋医学はまず薬の効果ありきです。特にアトピーの場合は顕著。君はアトピーだからこの薬出しておくねというような感じでしょ?
なので必要最低限の説明がされればどこいっても大して変わりません。その最低限の説明がされていない病院が多すぎるのが問題ですが・・・。
アトピーにおける漢方の役割ですが一言で言うと標準治療(保湿剤+ステロイド+プロトピック)等と併用すると単独よりもいい効果が得られるというような感じ。
今のところエビデンス(科学的根拠)に従えば標準治療と併用すると一部の漢方薬は単独で治療するよりいい結果が出るよ。というような結果に留まっています。
だから漢方が効果がないかというとそういう事じゃない。漢方は人の体の特徴を見てその人に合った処方をするといった感じなのでエビデンスでは評価できない。
薬剤の組み合わせも多く処方の組み合わせ次第では良くなったり悪化したりすることもあるかと思います。つまり医者の腕次第なわけ。
西洋医学以上に医者としての知識や経験が大きく出るので西洋医学では駄目という人は漢方を試すのもあり。
ただしヤブも相当多いのでくれぐれも「好転反応」には注意すべし。何ヶ月も続く「好転反応」等ありはしません。
さて肝心の紫雲膏ですが紫雲膏にも2種類あってツムラの「紫雲膏」とマルイシの「紫雲膏」があります。実はこれ成分の比率がかなり違うので同じ薬の名前でも効果が違ってくると思います。
マルイシのほうは採算が取れなくて2014年に製造中止になっているみたいなのでツムラのほうだけ乗せときます。
紫雲膏ツムラ
(日局ゴマ油 100.0g、日局シコン 10.0g、日局トウキ 10.0g)この3種類を混ぜ合わせた油製エキス71.2g。この中に添加物である日局サラシミツロウ 27.0gと日局豚脂1.8gを加えるというもの。
紫雲膏の主な効果を担っているのはシコンとトウキ。そこにミツロウと豚油を加えたもの。独特のにおいはの元は豚脂を入れているからするらしい。
この中でアレルギーを起こす可能性があるのはミツロウかな?シコンやトウキも元は植物なので注意は必要。
ごま油は色落ちを防ぐのと酸化を防ぐために使われているらしい。華岡青洲という江戸時代の医者が作った薬で世界で始めて全水麻酔を用いて乳がんの手術を成功させた人なんだとか。
シコンとトウキが薬の主成分なのでこの二つの効能を紹介。
シコン
http://www.e-nae.com/medicalplants/murasaki/より引用
漢字では紫根と書きます。ムラサキ科の多年草。薬草ということなんですが種自体が害虫や風雨にあまり強くない様子で自然栽培が困難なそうです。
そのため今はセイヨウムラサキという別の植物で代用しているんだとか。
シコンの主成分であるシコニンとアセチルシコニンという成分が創傷箇所の治癒促進、毛細血管の透過性の亢進、急性浮腫の抑制、肉芽の増殖等がマウス実験で確認されています。
この効果で一番近いのは非ステロイド系の外用薬かなぁ?アズノール軟膏とかそこらへんの記事を書くときに急性浮腫の抑制、肉芽の増殖という文字はよく見た。
トウキ
http://www.e-yakusou.com/sou/sou280.htmより引用
漢字では当帰と書きます。セリ科シシウド属の多年草。こちらは日本で栽培され輸出もされているという珍しい薬草だそうで。普通は輸入するらしい。
日本で取れるトウキは比較的成分が安定している。中国では産地によって値段も違えば品質もピンキリでトウキの中でもランク付けのようなものがあるらしい。
当帰の成分は グスチリド、n-ブチリデンフタリドベルガプテン、スコポレチン、ウンベリフェロン、ファルカリノール、ファルカリンジオール、ファルカリノロンといっぱいある。
冷え性、貧血、生理不順、鎮痛、更年期障害などに効果があり女性のトラブルによく混ぜられそうで。
皮膚関連は血液凝固抑制作用、抗炎症作用等がある。
使い方
幹部を清潔にした後、1日数回適量を直接患部に塗布。あるいはガーゼにのばして貼付する。
注意点として使う際服に付くと非常に取れにくいのでそこだけ注意して使う。
目には使わない。
副作用
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないため、発現頻度は不明である。痒みや発疹が出た場合は中止すること。
小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験が少ない]
薬効薬理
主な効能は火傷、痔核による疼痛、肛門裂傷と説明書には書いてある。皮膚炎には効くと書かれていない。抗菌作用はほぼないに等しい。
動物実験で効能は確認されているが人での副作用や効果の検証などは行っていないのでアトピーに効くかどうかはわからないし副作用も多いのか少ないのか分からない。
使ってみて良さそうなら続けて効果がなければやめるというのが無難かも。
創傷治癒促進作用
(1)第3度熱傷受傷マウスに塗布したところ、表皮再生が促進した。
(2)皮膚全層を円形に部分切除したラットに塗布したところ、表皮 形成が促進した。
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ひどい火傷が、跡形もなく治りました。主人の、床擦れも、改善されて、来ました。