アトピービジネスにだまされないために!アトピーに関する基礎を抑えとけ!
2017/01/06
基本的なことを書いてみようかと。アトピーとは皮膚のバリア障害の病気なんだよーと説明すると・・・。
ん?皮膚の病気なのはわかるけど皮膚のバリア障害って何?って思う人がいるみたい。おいおい大丈夫か。
自分の病気の事なんだからそこは知っておかないと!ネットの変な情報にだまされたりする予防にもなるしね。
健康な人の皮膚
http://levati.jp/mechanism/index.php?aidより引用
皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織という3層からできています。皮下組織は脂肪。これは今回重要でないので説明は省く。
真皮は主に肌の弾力をつかさどる部分。コラーゲンとか聞いたことあるでしょ?お肌のもっちり感を保つところ。これも重要でないので(以下略
表皮は主に肌の水分を保持したり皮膚の外からくる異物を弾く役割をしている。いわゆる皮膚のバリア機能というのはほぼここで決まる。アトピーの人で大事なのはこれ。
表皮の肌の水分保持や皮膚の外からの異物を弾く役割というのは表皮のいちばん外側にある「角質層」という部分が担ってる。「各層」とも呼ばれる。厚さはなんと0.02mm。サランナップ1枚分の厚さ。
この厚さ0.02mの「各質層」がしっかり働いていると皮膚がたくさん水分を保持できるから乾燥しなくてみずみずしいお肌になる。
更にたくさんの水分を保持することによりそれがレンガのように積み重なって皮膚の外から来る異物を弾くことができるようになってる。
水滴を1滴垂らすと肌には染みこまずに肌を伝って落ちていくでしょ?あれは皮膚のバリア機能がしっかりしているからこそできる。
健康な人の皮膚は角質層の上に皮脂膜という皮脂と汗が混じったものが皮膚の菌のバランスを整え有害な菌を減らしてくれる。更に保湿の機能も果たしているという優れっぷり。
だから健康な人の皮膚はウイルスやばい菌を弾く力があって皮膚からの感染症にはかかりにくい。
最も鼻の粘膜や喉からには無防備なのでそこは皮膚関係ないんだけどね。
アトピーってどういう病気?
乾燥肌の人の皮膚と言い換えてもいいかもしれない。アトピーは乾燥肌がもっと酷くなったものというようなイメージでいいかな。
まずアトピーの人の皮膚というのは遺伝的に乾燥肌になりやすい体質つまり皮膚バリア障害がおきやすい体質と考えてください。
自分がそれにあてはまるかどうかはアトピー素因(家族にアレルギーを持っている人がいるかどうか)で決まります。その強さは個人によって違いますが家族にアトピー素因を持つ人が多ければ強くなる傾向にあります。
小さい頃からアトピーなら遺伝的に皮膚バリア障害をもっている可能性が高い。僕もこのタイプです。
小さい頃アトピーでよくなってまた大人になって再発したという人もそうです。逆に大人になってからアトピーを発症したという人は遺伝的な要素はないのかもしれない。
アトピーが原因不明の病気といわれているのは皮膚バリア障害を起こす遺伝子が何なのかまだわかっていないということです。現在分かっているのはフィラグリンだけ。
それがあてはまるのは日本人の30%。なので残りの70%は何らかの遺伝子の欠損によるバリア機能の低下です。
遺伝的に皮膚バリア障害があるからアトピーは治らないというわけじゃありません。アトピーは自然治癒する病気ですし僕も殆ど治ってます。
ただし遺伝的に皮膚バリア障害もち(乾燥肌)なので治ってもそこは残っちゃいます。
アトピーの人や乾燥肌の人の皮膚
話は戻ってアトピーの人の皮膚はどうなってるの?ということなんだけど皮膚のバリア機能を担う「表皮」及び「角質層」の水分量が普通の人よりはるかに少ない。
この水分量を決めているのが油と水分そしてセラミドです。この3つが皮膚にたっぷりと存在するとき皮膚は潤いのある皮膚となります。
皮膚の油を出す役目は皮脂膜が担っています。これが汗と混ざることにより皮膚の上に薄い弱酸性の膜を張り皮膚の上に存在する菌のバランスを整えます。
皮膚の水分は主にNMFが担っています。NMFというのは天然保湿因子。すなわち皮膚の水分にあたる部分です。
水分と油だけ皮膚にあってもそのまま放置していると蒸発してしまうのでセラミドという成分がレンガのように連なってがっちりと水分をつなぎとめています。
アトピーの人や乾燥肌の人は大抵このどれか3つが皮膚に足りておらず乾燥肌いわゆるガサガサな肌になっています。
どれが人に足りていないかは人によって違いますが大抵不足しているのはNMFとセラミドです。皮脂はアトピーがよくなれば体が自力で出すようになります。
アトピーの人の皮膚は水分が少なくて乾燥しているのはわかった。というか誰でも知ってる。じゃあ次は水分が少なくなるとどうなるのーというのを書いていきたいと思います。
乾燥し痒みが強くなる
この説明何回もしている気がする・・・。
皮膚が乾燥し水分が保持できない状態になると痒みの神経線維と呼ばれるC繊維が真皮からにょきにょきと表皮まで伸びてくる。
痒みの神経線維が表皮まで伸びてくると服がこすれる刺激やちょっとこすっただけで痒みを感じるようになります。
これは「乾燥」による痒みであって「アトピー」による痒みではないです。だから痒みとしてはかゆいなぁ。ボリボリボリで終わっちゃう程度の痒みです。
皮膚の水分が少なくなることで表皮まで伸びてきているので表皮の水分量が適切(正常な肌)になれば緩やかに真皮まで縮みます。
アレルギー反応を起こしやすくなる
http://www.rurikou.jp/400/40190/より引用
正常な皮膚つまり水分をたっぷりと含んだ皮膚は分子量500以上の物質を通しません。
乾燥肌になると水分が保持できなくなり上の図のように水分が抜けてスカスカになります。その結果様々なアレルギー反応を起こす抗原が体内に侵入しやすくなります。
アトピーの人は遺伝のせいもあるし後天的名環境のせいもあって水分をたっぷり含んだ皮膚を作れません。
通常体に害はないものなんだけどあまりにも何度も体の中に入ってくると体の免疫君が「これは体に害を与えるもの」と勘違いして抗原を攻撃し始めます。これがアレルギー反応です。
ちなみに一度アレルギー反応を起こしてしまったらいまのところ治す方法はないので自然治癒に期待するぐらいしかありません。
だから何かを食べて「体質改善」とか体の中から生まれ変わる「免疫療法」とかはすごい怪しい。
代表的なアレルゲンの大きさはスギ花粉が40000、ダニ抗原が15000~16000と分子量24000の二つがあります。
アレルギー反応を起こし炎症が起きる
上の続きです。アレルギー反応が起こる抗原が進入すると激しい痒みと皮膚に炎症が起こります。これは脳みそが異物を取り出せ!と命令していると考えてもらえればいいと思います。体の防衛本能のようなかんじ。
このアレルギー反応はこの抗原が垢になって排出されるか細胞が抗原を退治するまで続きます。これが非常に厄介で乾燥肌の痒みとは全然違います。
骨まで痒くなるような痒みとでもいいますか。皮膚の奥が痒いというか芋虫が中にいてずっと動いているというかなんというか経験した人にしかわからないようなかゆみです。
アトピーの治療はこの肌に進入する抗原(人によってはダニかもしれないし花粉かもしれないしペットのフケかもしれない)を特定して除去するのが一番手っ取り早いです。
つーても病院では殆ど指導していないけどね。(指導をしない理由は時間がない、儲からない、知識がない)
除去しなければどうなるのかというとアレルギー反応そのもので皮膚に炎症が起きる。すると皮膚で炎症が起きているから皮膚を上手く作れず水分を保持した皮膚が作れなくなってしまいます。
またアレルギー反応がずっと続くことにより掻破行動(皮膚をひっかくこと)がずっと続きます。乾燥した皮膚というのはとてもデリケートでふれる、こすれる、水に触れるといった些細なことで容易にダメージを受けます。
アレルギー反応による掻破行動はかきむしるというのが一番近いかな。かきむしるというのは皮膚に最もダメージを与えるバリア破壊の一員になっています。
例えば血が出るほどひっかく、浸出液が出るほどひっかくというのは表皮に血液は流れていないので真皮の奥深くもしくは真皮まで皮膚へのバリア破壊が進んでいるという事になります。
上で書いたとおり皮膚のバリア機能の殆どは厚さ0.02m角質層が担っているのでそのような状態だと皮膚のバリア機能は崩壊し常にアレルギー反応を起こしているような状態です。
感染症にかかりやすくなる
http://atopy-fine.jp/atopy-news30/より引用
皮膚のバリア破壊が進み角質層が常に破壊された状態でアレルギー反応による炎症が続くと感染症にかかりやすくなります。
皮膚のバリア破壊が進む=炎症が酷くなると皮膚に含まれる様々な機能が低下します。皮膚が損傷すればそれだけ自分の力で皮膚の水分をつかさどる様々な成分を作る力が衰えます。
それだけに限らず皮膚の中にある汗腺(汗を出す部分。欠損すると汗が上手く出せず皮膚にとって悪い菌の調整が出来ない)。
皮脂腺(皮膚の油を出す部分。ここから出される皮脂によって皮膚は弱酸性を保つ。皮膚にとっての善玉菌は弱酸性でしか生きられない)。
いずれの機能も衰えアトピーを悪化させる黄色ブドウ球菌という悪玉菌が増殖します。
黄色ブドウ球菌はアトピーの痒みを悪化させ炎症を増幅させ感染症の原因にもなるとても厄介な菌でアトピーの人の肌には通常の人の100倍~10000倍は住んでいるといわれています。
医者がお風呂に入って清潔にというのはこの黄色ブドウ球菌をケアするようにという意味が強いです。
アトピーによく効く○○というのは黄色ブドウ球菌を殺菌する物が入っているので当たり前だけどよく効きます。そんなんに5000円とかかけるならイソジンのほうがよっぽど安全だしよく効く。
皮膚のターンオーバーが早くなる
http://bigocoro.blog53.fc2.com/blog-category-5.htmlより引用
通常皮膚の生まれ変わりは28日といわれてます。部位によっても違うし年齢によっても違うんだけど。
皮膚の炎症が続き掻破行動をしていると皮膚がぼろぼろになりそれを以上と察知した体が皮膚の生まれ変わる期間を早くします。
といっても皮膚の生まれ変わる期間を早くしても皮膚の細胞が出来る事を早くするのはできないので出来上がった皮膚は突貫工事で作られた皮膚です。
アトピーの人は皮膚のターンオーバーが早いが故に不完全な皮膚が作られているのでターンオーバーを遅らせてきっちりと健康な皮膚を作る余地があります。
出来上がった皮膚は水分も少なく皮膚の厚さも薄くバリア機能が未成熟なままできあがります。そこをひっかくもしくは炎症を起こすことにより未成熟な皮膚がまたあがってきます。
分かりやすい例を言うとアトピーの人はよく皮(かさぶた)をむく癖があります。むいた後ピンク色の皮膚がてらてらと光っていたらそれは未成熟な皮膚という証です。
最も向いた後正常な皮膚が見えても結果的に自分の皮膚をむしっているわけだから自分から皮膚を傷つけ皮膚のターンオーバーを促進しているようなものです。
あれは癖としては最悪でアトピーの治りを顕著に悪化させます。本来は垢となってはがれおちるのをじっとまたなきゃなりません。
僕は掻くなとは言わないけど剥がすな!は言います。掻くのは我慢できないけど剥がすのは癖だからね。
よく○ヶ月で治す~とかあるけど炎症のある状態から正常な皮膚に治すのは半年ぐらいはみておいたほうがいい。
理論上は1ヶ月で治るんだけど現実は甘くない。
手や足の角質層の分厚い部分は半年以上かかるししばらくは皮膚の中で炎症の下火というのは残るし伸びきったC繊維(痒みをかんじる神経)を元に戻すのに数ヶ月はかかる。
まぁ本気で信じている人は殆どいないだろうけどアトピーって言うのは悪化するのは一瞬だけど治るのは緩やかなんだよね。
なんかかいてるうちに長くなっちゃったけど基礎中の基礎だから是非頭に入れておいてほしいと思う。
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Comment
3週間ほど前から、息子(三才)にアトピー症状が出て、色々な情報を頭に入れすぎてパニック状態でした。
このサイトで勉強して、息子に合った方法でまたもとの痒みのない肌に戻れるように努力したいと思います。
ありがとうございました。
お子さんがアトピーだとお母さんが育児に疲れてしまうのは良くあるのでお母さんが疲れているのなら努力よりまずは休む事が必要です。
疲れていると冷静な判断が出来ないし視野も狭くなってしまいます。自分の心と体を大事にすることがお子さんにもいい影響を与えます。
アトピーは自然治癒するの傾向が高い病気なので焦らずじっくりと治してあげてくださいな。
はじめまして!
いつも勉強になる記事をありがとうございます!
脱保湿、脱ステしてから5年たつのですが未だ落屑が大きいものから粉状のものまでバサバサ落ちます。
落屑が収まらないときは皮を自分で剥がさないようにする以外に何か方法はありますか?
対策はないですねー。落屑は炎症なんで保湿も効果がなさそうですし・・・。