ステロイド依存の基礎知識について(僕のメモ帳のようなもの)
2015/02/07
今現在僕が持っているステロイド依存の知識についてざーっと書いていきます。主に深谷先生のブログから情報を集めて僕なりに解釈して情報をまとめたもの。
ぶっちゃけ記事ではなく個人的なメモ帳のようなもの。それでも知識の乏しい人にとっては役に立つと思うので公開しておきます。
依存が起こる条件
ステロイド依存はステロイド外用薬でのみ起こる。喘息に使われるステロイド吸入やステロイドの内服では起こらない。詳しいメカニズムは不明。
ステロイドによるリバウンドはステロイドが酸化して蓄積されたりステロイド外用薬によって腎臓萎縮が起こることとネットではいわれているが違う。
ステロイド外用薬による腎臓萎縮は仮に起こったとしても一時的なもので外用を止めればすぐに戻る。「腎臓萎縮」と「依存」はまた別物である。
酸化コレステロール説はそもそもステロイドが体内に蓄積しない。
ステロイド外用薬には正の作用(炎症を治し皮膚バリアを回復させる)と負の作用(皮膚を萎縮させる)がある。
皮膚萎縮は一過性のものでありステロイドを連用しなければ皮膚の萎縮は自然治癒する。
連用することで負の作用が自然治癒を上回り更に連用を長期間続けることで負の作用が正の作用を上回る。これが依存と呼ばれるもの。
依存状態になるとデルモベートだろうが内服ステロイドだろうが効かない(外用量をちょっとでも減らすと炎症が広がる)
皮膚萎縮はランクの高いステロイドほど強く長年連用すればそれだけ萎縮は進む。萎縮の進む速さは個人の皮膚の違いによるものが大きいんじゃないかと推測されている。
デルモベートを健常者の皮膚に一日2回6週間外用した皮膚は皮膚の萎縮が回復するまで2週間以上かかる。
最もこの実験結果は健常者の皮膚であることや個人の皮膚の違いからあまり参考にはならないかもしれない。
自覚症状
依存(皮膚バリア破壊)は自覚症状のないまま進む。皮膚のさわりごこちや弾力といった部分は真皮が担っているので表皮が萎縮するだけでは気づかないのかもしれない。
皮膚が薄い部分では皮膚萎縮による毛細血管拡張や毛細血管拡張による皮膚の赤み等が早く出るので気づくことが多い。
長いことステロイドを連用するとステロイド皮膚症と呼ばれる状態になる。これとかこれとかこれとか(クリックすると画像が開きます)
素人の僕が見てもなんかアトピーとは違うなぁと思う。僕はステロイドを使用したことのない重症患者だったけどこんな風にどす黒い肌にはならなかった(僕の場合は赤みが強かった)
ステロイドを使うと黒くなると言われているのはこれのことかもしれない。ちなみに普通に使う分にはステロイドで黒くなったりはしません。
ステロイドを連用した結果皮膚バリア破壊が続き慢性の炎症が続き皮膚が黒くなるというあたりじゃないのかなぁ。
ステロイドが効かなくなってくるとステロイドを塗っても痒みが取れないもしくは痒くなる。灼熱感等何かがおかしいと患者自身が普通のアトピーとは違うと感じることが多い。
何人ぐらいいるか
日本の成人アトピー患者で依存の疑いがある人は10%程度(佐藤先生や深谷先生の推測)
ここからは僕の推測ですがこの10%の中には
A.先天的に依存に陥りやすい皮膚質の人(依存から回復してもステロイドを注意深く使わないと依存になってしまうもしくはステロイドを使えないタイプ)
B.依存に陥りやすい体質ではないが医者から不適切な治療を受けた性で何年にも渡って必要ではないステロイドを塗り続け依存に陥っている人(依存から回復すればステロイドを使える可能性が高いタイプ)
この2種類の人がいて今現在脱ステをしている人はAとBに加えてCの3種類。
C.依存ではなくステロイド忌避もしくは勘違いステロイド依存(自分は依存であると思い込んでいるが依存ではない人もしくはステロイド忌避)
この3種類があると思う。脱ステの問題点はCの患者に先生方が意図的に「ステロイドで治療することも出来る」という選択肢を与えずに脱ステさせることもしくは継続させる事が問題。
リバウンドについて
プロトピックでは皮膚萎縮は起きないので依存には陥らない。仮に陥ったとしても別のメカニズムによるもの。
依存に陥っている状態でステロイドを止めるとリバウンド(ステロイドを塗る前より激しいアトピーの悪化)が複数回起きる。
通常塗るのを止めると何も起きないかあるいはアトピーが悪化する(患者心理としてはステロイドを塗る前の状態に戻る=アトピーの悪化なのでリバウンドと勘違いしやすい)
リバウンドかステロイドを止めることによる悪化かどうかはやめてみないとわからない(わかるものもある)。
リバウンドかアトピーの悪化なのかは皮疹の流れとステロイド外用歴を問診することが必要で熟練の脱ステ医のみが見分けることが出来る。
リバウンドは塗っていなかった箇所にも広がる。体の中心から広がり手首、手足に広がり手足、足首で慢性の局面を作る。
悪化は汁が出る時期が続きその後汁がでなくなっていき乾燥が続き何回も落屑が続く。汁がでる時期から乾燥期に移行するときに皮膚が肥大する。
特に膝、手の甲、足が浮腫むのが特徴。苔癬化と呼ばれるものなんだけど普通の苔癬化とはちょっと違う気がする。
なんといえばいいのか。リバウンドの苔癬化というのはパンパンに膨れて針でつつけば汁が吹き出そうな外見をしている。
こんなんとかわかりやすいかな。汁が出る時期→浮腫みのある苔癬化その後乾燥期に入るみたい。
1回目は依存によるもので2回目以降はアトピーの悪化(ステロイドによる皮膚の過敏性の進行)。
皮膚の過敏性の進行というのは皮膚が様々な刺激に反応しやすい皮膚が弱った状態。時間と共にゆっくりと回復していく。
1回目のリバウンド自体は依存が重くなければ数ヶ月~で収まるが2回目以降のリバウンドは人によっては数年間は続く。
2回目以降のリバウンドはアトピーの悪化によるものであるため悪化因子の除去によって対処可能。
悪化因子に触れなければそれだけ皮膚の過敏性は速く回復する。悪化因子に触れれば皮膚の過敏性の回復は遅くなる。
皮膚の過敏性が回復するとき=脱ステ終了でありステロイドによる皮膚萎縮はなくなり患者はアトピーに戻るかもし本来のアトピーが治っていたりアトピーでなければ健康な皮膚に戻る。
2回目以降のリバウンドを早く回復させるものは悪化因子除去が確実で紫外線治療法、タール剤等がある。
2回目以降のリバウンド以降はステロイドによる反応性を取り戻す(塗っても効く)ことが多いので患者が望むなら標準治療に戻ることが出来る。
ただしステロイドを止めてリバウンドを乗り越えてなおステロイド皮膚症が残る人(皮膚の萎縮が全身に及ぶ強い依存のタイプ)は外用してもすぐ依存に陥る。
これはステロイド外用による皮膚萎縮が治りきっていないため。このタイプは非常に治りにくく数年~10年かけてゆっくりと元のアトピーに戻る。
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リバウンドはステロイドを塗る前より明らかに激しい悪化。
ステロイド中止による悪化はステロイド塗る前に戻るって事です。