アトピーの発症リスクを下げるフィラグリンってどんな成分なの?
2017/01/06
今日はフィラグリンについてちょっと書いてみようかなーと思います。もうブームはとっくに過ぎてるんですけどねー。
2013年に京都大学がフィラグリンを増やす化合物JTC801を発見しました。
フィラグリンと言う成分がアトピー患者の肌には不足しているらしくアトピーを発症しているマウスにフィラグリンを与えるとアトピーが劇的に改善したんだとか。
このニュースが流れてフィラグリンがあればアトピー治るかもしれない!見たいな感じで皆さん期待されているわけです。
検索できた人はおそらくフィラグリンってどこで売ってるん?とかどうすれば増えるの?とかフィラグリン増やせば治るの?あたりが気になってると思う。
ですのでこの記事ではフィラグリンの増やし方だったり自分のフィラグリンが不足している方法の判別方法を書いていきます。
目次
アトピーとフィラグリンの関係
フィラグリンというのは天然保湿因子(NMF)の元となる一つでフィラグリンが体内で作られた後プロフィラグリン→プロフィラグリンモリマー→その後ケラチン(爪や皮膚の材料)とかになります。
皮膚の潤いというのは皮脂、NMF、細胞間脂質(セラミドが一番有名)の3つで成り立っていてどれかが不足すると乾燥肌になるというのが一般的な知識です。
んでフィラグリンというNMFのひとつを遺伝的に上手く作れない人がいてその人たちはアトピー発症のリスクが高いようだ。というような推測がされて遺伝子の調査を偉い人がしました。
それで日本のアトピー患者を調査したところ約30%のアトピー患者にフィラグリンの遺伝的欠損が見られフィラグリンの不足が乾燥肌を招きアトピー発症のリスクを増加させているようだ。
というのが最近分かったという事です。
http://www2.hama-med.ac.jp/w1b/derm/research/img/S5.jpgより引用
フィラグリンを取ればアトピーが治るの?
結論から言うと割と万能に効くんじゃないかと。ただし治るってレベルではないですね。
上の図であるようにフィラグリンが不足していてアトピーが発症する人もいます。
ですのでフィラグリンアトピーが発症する前の赤ちゃんに与える事でアトピーを予防できたりアトピーの人は大体がフィラグリンが少ないのでフィラグリンを取る事で改善できます。
特にフィラグリン遺伝子欠損がある30%の人は劇的に改善する可能性も高いんじゃないでしょうか。
この記事を書いている2015年現在フィラグリンを増やしたり遺伝子を治したりする薬はまだ開発されていないです。
薬の開発には10年~15年程度かかるので気長に待ちましょう!
で終わっちゃうとおいおい糞記事じゃねーかって事になっちゃうんでフィラグリンを増やす方法を教えます!
薬はまだ開発されてないけどそういう増やす成分はあるからね。
フィラグリンを増やす方法を教える前にまずは自分の手のひらをチェック!
アトピーの人で生まれたころからおじいちゃんやおばあちゃんみたいな手相の人っていませんか?しわしわーってかんじの。
もしくはまだ20台なのに手の甲あたりの毛穴が開いてる人とか。
http://mitakahifu.com/palmarhyperlinearity/より引用
この親指の付け根らへんに深いしわがあるとフィラグリン遺伝子に欠損がありフィラグリンを上手く作り出せない体質である事が非常に多いです。
これはpalmar hyperlinearityといって生まれつきフィラグリン遺伝子に異常があることを示す皮膚症状です。
http://sandyflann.com/dr-sandy-flanns-blog/do-you-have-the-genes-for-eczemaより引用
わかりやすい写真持ってきた。こんな風に縦のしわがある人は元々フィラグリンが少ないですよーって事ね。
http://openi.nlm.nih.gov/detailedresult.php?img=2883069_bjd0161-0884-f2&req=4より引用
一番左が正常な手相で右側の1~3がからがpalmar hyperlinearityです。
フィラグリンが不足すると皮膚の角化や保湿成分が不足するのでアトピーや食物アレルギーになる率が上がります。
フィラグリン遺伝子に欠損があるとアトピーになるリスクやそれ以外にも食物による経皮感作で食物アレルギーを発症する率が上がります。
以下具体的な例。
健常者に比べてアトピー発症のリスクが3.1倍。健常者に比べて喘息のリスク発祥が1.5倍(アトピーになっている人かつフィラグリン欠損ありの人に限る)
経皮感作のリスク増(ピーナッツアレルギーを持っている人のFLG変異が16.9%でピーナッツアレルギーをもっていない人のFLG変異は3.7%)
アトピーになると早期(赤ちゃん)に発症しフィラグリン遺伝子の欠損が高ければ高いほど重症化する。
欠損率が高ければ魚鱗癬を併発(グーグルの画像検索で出る重いものはまた別)先天性なので成人まで続く可能性あり。IGE高い、感染症にかかりやすいといった特徴あり。
フィラグリンが少ないととにかくやばいって事です。
フィラグリンの増やし方
実はフィラグリンを増やす成分と言うのはいくつかありますしそれを売りにしたスキンケア用品もあります。
コメント欄で指摘があったセタフィルもその一つですね。まぁあれは適正価格ではないので僕は積極的にお勧めしませんが・・・。
犬用のフィラグリンを補うサプリなんかもあるみたいです。人間用はないけどね。こーいうやつ。
ちなみに上のサプリと同じ原理を使ったフィラグリンを増やす人間用のサプリメントは特許申請中だそうです。
http://biolt.co.jp/02/02-1-2-atopicdermatitis.htmlより引用
この人は手のシワが深いのでフィラグリン遺伝子に欠損がありそうです。こういう人にはやっぱ効くみたいですね。
上のサプリを飲んだところ体内のフィラグリン量が3倍近くに増えたんだとか。3倍近く増えると健常者にかなり近くなるのでやっぱり効果はありそうですね。
試してみたいけど特許申請中との事でまだないんだよなぁ・・・。
ないものねだりしてもしゃーないんで他のフィラグリンを増やす代表的な成分をみてみましょう。
フィラグリンを増やす成分はローズマリー油、オリーブ油、ビタミンB6、γーオリザノール、タール等です。
他にもあるかもしれませんが僕が調べた限りではこんな感じです。
ローズマリー油、オリーブ油はマウスに塗ることでフィラグリンの発現率が高まったと言う報告があります。(論文どっかにあったんだけどページ消えてた)
ビタミンB6はフィラグリンの材料です。不足してるならソレを補えばいいじゃん的な感じですね。
γーオリザノールはかなり凄い成分で抗アレルギー作用もあるし腸炎も治してしまうと言う万能薬みたいな成分。
タール系の抗炎症薬もフィラグリンを増やします。アトピーだとモクタールが有名ですね。
豊富温泉がアトピーに効くというのもフィラグリンを多く含み殺菌作用があるからです。
いずれの成分も京大が発見した化合物JTC801に比べれば効果は低いんですが植物に含まれるものが多いのでサプリや化粧品の成分に添加しやすいという特徴があります。
なぜ効果が低いのかと言うと京大が発見したJTC801はフィラグリンを直接増やす成分。それ以外の成分はフィラグリンの合成を催す成分です。
どっちにしても増えるのには変わりありませんが直接的に増やすほうが当たり前ですが効果は高いです。
これらが含まれた成分を肌に塗るあるいは経口摂取するとフィラグリンが増えますよーって事です。
フィラグリンを増やすなら肌に塗るよりサプリをお勧めします
フィラグリンはその性質上経口摂取したほうが効果は高くなります。つまり塗るよりは食べて補ったほうがいいよーって事ですね。
その理屈は単純で皮膚が生まれ変る際にフィラグリンが作られます。28日で皮膚が生まれ変るなんて言葉を聞いたことがあるでしょう?
http://naniwahifuka.byoinnavi.jp/pc/free172104.htmlより引用
上の図であるとおりフィラグリンは基底層より下で作られて皮膚が出来る段階においてフィラグリンが分解されて様々な役割を果たします。
フィラグリンが分解されて天延保湿因子になったりケラチンの一部となる事で皮膚を丈夫にしたりと言う感じです。
僕は専門家ではないのでそこまで詳しい事はわからないんですがフィラグリンが皮膚を形成する上で重要な役割を果たしているって事です。
丈夫な皮膚を作るには適正な量のフィラグリンがきちんと分解されて皮膚の材料にならなきゃだめですよーって事です。
でなんで化粧品にフィラグリンを増やす成分が含まれていても効果は薄いのか?って話なんだけど化粧品って角質層までしか届かないんですよね。
これは薬事法で決まっていて市販で売っている化粧品全てに当てはまります。
丈夫な皮膚を作るためにはフィラグリンが分解される基底層までフィラグリンを浸透させなきゃいけないんですが化粧品だとソレが無理です。
経口摂取なら内部からフィラグリンを増やせるんで基底層のフィラグリンを増やせるはずです。
問題は経口摂取できるサプリがないこと。サプリの場合はフィラグリンを増やすエビデンスがない事です。(化粧品はいくつかそういう商品がある)
つまり2015年現在フィラグリンを増やせばアトピーが改善するってのはまー現状ちょっと無理かなと・・・。化粧品ならいけますが。
じゃあどーすんねんって話なんだけどセラミドのサプリすればいいんじゃないかと。
セラミドは肌のバリア機能を担う最も重要な成分でアトピーの人は有意にセラミドが少ないです(炎症がない部分を健康な人と比べても差が出ます。炎症がある部位はさらにドン)
フィラグリンも重要な成分ですがセラミドはもっと重要な成分です。そこで僕はこう思ったわけです。
フィラグリンのサプリはまだないけどセラミドサプリあるよなぁ。こんだけ有意差出てたらセラミドサプリ飲めば効くかもなぁ。
って感じでセラミドサプリ飲みはじめたんですがめちゃくちゃ効きます。飲み始めてるから保湿剤の使用量も減りましたしステの使用量も減りました。
お手軽に乾燥肌を改善!アトピーならセラミドのサプリメントを取っとけ!
将来的にはフィラグリンの薬やサプリも開発されてアトピー改善するならフィラグリンという選択肢も出てくると思います。
がまだ発展途上なんで5~10年後ぐらいに期待ですなぁ。
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前にNHKのアレルギー特集で、フィラグリンのことをやっていましたよ。たしか海外だか薬を開発中みたいで、実用化するのは10年20年先?と言ってて、まだまだ先だなーと思ったのを覚えてます。なんにせよアトピー治療はこれからもどんどん進歩していってほしい。
薬の開発には10~20年ぐらいかかるので気長に待つのがいいんじゃないかと。フィラグリンはセラミドの元なのでセラミドを塗るもしくは飲む事である程度補えたりはします。
はじめまして。フィラグリンで検索して記事を拝読しました。
私もアトピーで人生を壊されるくらい苦しんできました。
なので匿名さんも仰っているNHKの番組を見たときにフィラグリンについて知り、希望を見いだしたのですが、やはり万能とも言えないようですね。
フィラグリン入りの洗浄剤と保湿剤は販売されてますね。思ったより早かった。
cetaphilのRESTORADERMシリーズです。しかし、日本価格は高い。アメリカでは小売価格$12前後なんですが…。
敏感肌用と名乗れば何でもかんでも高い価格に設定できるって風潮、いい加減にして欲しいです。
セタフィルはフィラグリンを確かに増やすのですが保湿剤としてみると値段高い上に効果もあんまり・・・というのが正直なところです。
フィラグリンを増やす方法はいろいろあるんですがアトピー改善と言うのなら手っ取り早くセラミド入りの保湿剤を塗るのがいいかと思います。