アトピーの軟膏(油脂製基材)の特徴についてまとめてみた
今日は軟膏タイプの特徴について書いていこうかなと思います。軟膏というよりは油脂製基材が正しいかも。
わかりやすくいうと塗ってベタベタする奴。アトピーの薬で油脂製基材は多いです。大体の薬が軟膏とクリームで分かれてますよね。
ステロイドなんかもそうだし保湿剤もべとべとしてる奴とクリームタイプの奴あるよね。今日は軟膏(油脂製基)の特徴についてまとめてみました。
油脂製基材(軟膏)の特徴
http://www.maruho.co.jp/medical/academic/infostore/rvcck40000000649-att/vol01_05.pdfより引用
クリームとの違いは色々あるんだけどあんまり知らない人が多いんじゃないだろうか。油脂製基材というのは大きく分けて鉱物性と動植物性に分かれます。
この表に入っていない中で有名のは馬油とかホホバオイルとかかな?あれも油脂製基材(軟膏)の一つで動植物性です。
鉱物性はたまに天然ものじゃないから危ないとかよくわからん事いう人いるけどめっちゃ安全ですし人工物のイメージ強いけどめっちゃ天然物です。石油が人工物ならもうエネルギー問題解決してます。
アトピーに限って言えば「天然物だから安全。合成だから危険」という思考はごみばこに捨てるべきです。
鉱物性の最大の特徴は化学反応を起こしにくいかつ不純物が少ないこと。この特徴をもっているので色んなものに混ぜられます。
使用感がねっとりあるいはさらさらしているものには油脂製基材が混ぜられていることが多いです。
一方で動植物性はそれ自体が何らかの保湿成分を持っているものが多かったり人の皮膚になじみやすいというのが最大の特徴です。
だからこれがベースになって塗り薬が作られることもあるし少量入れて保湿成分として使われることもあります。使用感は鉱物油よりは使いやすいものも多いかな。
デメリットは何らかのアレルギー反応を起こす可能性があること。例えばアズノール軟膏に含まれているラノリンは羊の毛脂ですがアレルギー反応を起こすことで有名です。上の表にもありますね。
天然の植物エキス○種配合と書いてあるのはそれだけ保湿成分が添加されているけどそれだけアレルギー反応を起こしやすくもなっている。
メリットもあるけど当然デメリットもある。植物エキスなは特に花粉症持っている人には危険だと思う。
クリームと違って皮膚に優しい
軟膏は皮膚をやわらかくして傷ついた部分を覆い肉芽形成を助ける作用があります。簡単に言うと皮膚の傷を治るのを早くして再生を助けるって事。
クリームは使用感を重視しているためあんまりお肌に優しくはないです。
クリームは水と油を混ぜるためにどうしても界面活性剤を入れなきゃならないし防腐剤や酸化防止剤、PH調整剤が入ってます。
その点で軟膏と比べて添加物が増えて皮膚が敏感なアトピーの人にはどうしてもアレルギー反応が起こるリスクが増えます。赤くなったり痒くなったりとね。
特に皮膚の状態が悪い時は普段反応しないものでも反応しちゃうのでそういう場合は軟膏が安定。
その証拠に同じ薬の軟膏とクリームの副作用率を調べると殆どの薬でクリーム>軟膏の順番に副作用率が多くなっています。
使える炎症の適用範囲が大きい
http://www.babajiro.com/babajiro/news/20130418steroid/steroid.htmより引用
軟膏は紅斑(赤くなってるところ)や丘診(ぶつぶつ)にも万能に使えます。クリームはびらん(汁がでていて傷深い箇所)や潰瘍(びらんより深くえぐれている傷)には使えない。
アトピーの人は軽度ならクリームも選択肢に入るけど症状が重くなると軟膏のほうがお肌に優しいです。
クリームだとしみたりかぶれが起こるリスクや炎症や傷のある皮膚だと薬剤の成分が浸透しすぎて副作用のリスクが高まるという理由からです。
特にステロイドの強いクリーム(軟膏はOK)やプロトピックは基本的に糜爛のある箇所には禁忌です。僕も治療の初期はステロイドの軟膏を使いました。
http://www.maruho.co.jp/medical/academic/infostore/rvcck40000000649-att/vol06_05.pdfより引用
上の図はアンテベートの軟膏、クリーム、ローションの薬の浸透性を図ったものです。傷や炎症のある部分には軟膏が適しています。
軟膏は皮膚には優しいですが浸透性(効果)がいまいちなのである程度皮膚の状態が良くなってくれば保湿剤に関しては軟膏よりクリームのほうがいいです。
正常な皮膚であれば多少の刺激でも悪化することはないし軟膏だとちょっと物足りなくなってくるはずです。
軟膏(油脂製基材)の特徴は一言でまとめるとメリットは皮膚に優しい。比較的どんな炎症にも使える。デメリットは使用感が悪い。皮膚への浸透性(効果)が低いです。
上手く特徴をつかんで使い分けするのがいいと思う。
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Comment
ステロイドは1群~5群まで存在しますが、抗炎症作用の強さの数値ってわかっているのでしょうか? たとえばアンテベーとロコイドは10:1のような(これは適当で実際はわかりませんが)。
1ランクあがるたびに倍倍の強さになります(あくまで単純に考えてですが)
アンテベートを1日1回塗るのとリンデロンを1日2回塗るのはほぼ効果が一緒って感じですね。
僕は朝塗るのがめんどくさいんで強いステロイドを1日1回塗ってます。
倍ですか。わかりました。ありがとうございます。